苦痛の少ない胃カメラ・大腸内視鏡検査、日帰り肛門手術、やけどやキズの湿潤療法は川越駅前胃腸・肛門クリニック(埼玉県川越市)
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痔ろうとは、肛門の中と皮膚の間にできる「トンネル」のことをいいます。
下痢便などで肛門にあるポケット(肛門陰窩)の中に細菌(大腸菌)が入り込み、トンネルを作るのが痔ろうの原因です。特に体力が弱っていると化膿しやすくなります。時に、裂肛(切れ痔)から細菌が侵入して、痔ろうになることもあります(裂肛痔ろう)。
主な症状は「痛み」、「腫れ」、「膿が出る」などで、発熱することもあります。
痔ろうは、単純なものから複雑なものまで色々なタイプがあり、複雑さ(形)に応じて分類されています。
痔ろうの場合、お尻を温めると症状が悪化するので注意が必要です。
痔ろうは薬では治らないので、基本的に手術が必要です。痔ろうを長年放置しておくと、徐々に複雑化して治療が難しくなり、最悪の場合は、痔ろう癌になることもあります。
人間の肛門には、もともと肛門陰窩(こうもんいんか)というポケット(矢印)が8~12個存在します。中には深い肛門陰窩を持っている人がおり、ここに細菌が入って膿が貯まりやすくなっています。
膿が広がって進行した結果、トンネルができます。この状態を痔ろうといいます。
痔ろうの有病率は欧米では10万人当たり5.6~20.8人です。
男女比は2.2~5.7:1と男性に多く、30~40歳代に好発します。
男女ともに低位筋間痔ろう(II型)が多く、女性は男性よりも前方(腹側)痔ろうは多くみられます。
痔ろうは「肛門陰窩」というポケットに便が入り込み、感染して発症します。
特に下痢で液状の便になると便が肛門陰窩に入り込みやすくなるので、続いた下痢を避けるのが予防となります。ただし、一回下痢をしただけでも発症することがあります。
硬い便をしてできた裂肛(切れ痔)から細菌が入り込み、痔ろうになることもあります。
以上のことから下痢や便秘を避けることが痔ろうの予防になりますが、痔ろうの発症を完全に予防することは困難です。
肛門周囲膿瘍とは、肛門の周囲に膿が溜まる状態で、痔ろうの前段階の状態です。肛門周囲膿瘍の場合、緊急で切開をして、膿を出す必要があります。
肛門周囲膿瘍の治療は切開排膿とドレナージが原則です。切開排膿とドレナージをせずに抗菌薬を服薬しても症状は改善しないことが殆どです。
排膿後、多くの場合は痔ろうのトンネルが完成し、後日、痔ろうの手術が必要となります。
Ⅰ型痔ろう(皮下痔ろう)
ごく浅い皮下の痔ろうです。Ⅰ型痔ろうは殆どが裂肛を合併し、これを「裂肛痔ろう」といいます。
ⅡL型痔ろう(低位筋間痔ろう)
肛門括約筋の間を走行し、皮膚に向かうタイプの痔ろうです。全体の70%を占めます。
ⅡH型痔ろう(高位筋間痔ろう)
肛門括約筋の間を走行し、奥(上方)に向かうタイプの痔ろうです。全体の10%を占めます。
Ⅲ型痔ろう(坐骨直腸窩痔ろう)
深くて複雑な痔ろうです。全体の15%を占めます。
Ⅳ型痔ろう(骨盤直腸窩痔ろう)
最も深く複雑な痔ろうです。全体の2~3%程度です。
痔ろうは自然に治ることはありません。痔ろうの診断がついたら、基本的には手術が必要となります。
痔ろうを手術しないで放置しておくと・・・
・ 再び膿が貯まり、腫れて痛みが出る。
・ 痔ろうが枝分かれして、複雑な痔ろうに進行してしまう。
・ 複雑痔ろうを長年(10年以上)放置しておくと、ごく稀に癌化することがあります。
痔ろうの大半は、肛門陰窩というポケットから細菌が入って起こります。このタイプは、通常の痔瘻の手術で治すことができるので問題はありません。
問題はクローン病が原因の痔ろうです。これを見落として痔ろうの手術をすると、傷が治らず余計に悪化してしまうことがあります。クローン病がある方の場合には、痔ろうの治療方法を変更する必要があります。
また、潰瘍性大腸炎の場合にも、気付かずに手術をすると傷が治らなくなります。服薬で炎症が治まってから手術をする必要があります。
1.切開開放術
痔ろうの手術で最も再発が少ない方法です。肛門括約筋をある程度切り離してしまうため、一般的には括約筋の影響が少ない肛門の後方(背中側)にできた痔ろうに対して行います。
2.Seton法
痔ろうのトンネル(瘻管)に輪ゴムを通して、ゴムの力で痔瘻を切っていく方法です。肛門括約筋は温存できますが、完治するまでにある程度治療に時間がかかります。
3.肛門括約筋温存術
肛門の後方以外の痔ろうに対して、肛門括約筋を切断しない方法で手術をします。ただし、再発率が高い(約15%くらい)との報告があります。
後方の痔ろうや側方・前方のごく浅い痔ろうは、通常、切開開放術を行います。これらのタイプは殆ど肛門が変形することなく治癒します。
上記以外のタイプの痔ろうに切開開放術を行うと、変形が生じて便漏れが起こる可能性があります。この場合はSeton法や肛門括約筋温存術が行われます。
痔ろう術後の禁制(continence)(便を我慢する力)の低下を認めることもありますが、
本邦における痔ろう術後の便失禁の発症率は高くありません。
複雑な痔ろうの術後の発症率は0~54%と報告され、ガス漏れは液状便や固形便の漏れよりも多く見られるとされています。
痔ろうと診断された方には、全員に手術をお勧めしております。現時点では、残念ながら、手術以外に痔ろうを診断する方法はありません。
痔ろうと診断されて手術を勧められても、「どうしても手術は嫌だ」と様子をみる方がたまにおりますが、しばらくしてまた腫れたり、痛み出して手術となるケースが大半です。
ごく稀ですが、痔ろうが複雑化して治療がより大変になり、長年放置した結果、癌化(痔ろうがん)して、人工肛門を余儀なくされるケースもあります。
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